ブッダの生涯 ラーフラ

ブッダ物語17 決意

シュッドーダナ王は、ブッダを引き留める最後の手段として、孫ラーフラの誕生を祝う華やかな祝宴を用意しました。

国中から、歌手や踊り子が招待され、この上ない豪華な食事が用意されました。

夜がふけるにつれて、王子はうたた寝を始めました。

やがて踊り子もそれに気づき、休むことにしました。そして、彼らもぐっすりと眠りについたのです。

目を覚ました王子は、先ほど自分を楽しませていた人たちが、全員まわりでぐっすり寝ているのを見て驚きました。

なんとその姿の違っていたことか。

しとやかで美しい踊り子や歌手は、今は椅子や長椅子の上でだらしなく、大の字になって寝そべり、大きなイビキをかくものもいれば、獣のように歯ぎしりをする者もいます。

先ほどの美しさは、けがらわしさに変わっていました。

王子は、それを見て、この世界への嫌悪感は最高潮に達しました。

王子は、眠っている人びとを起こさないようそっと立ち上がり、お供のチャンナを呼び、旅の準備を整え、愛馬カンタカを用意させました。

王子には、出発前にしなければならないことがありました。世俗を捨てる決意をしたときに、ちょうど生まれた息子の顔をまだ見ていなかったのです。

そこで、息子と妻の寝室に立ち寄りました。

ヤショーダラは、赤ん坊の顔を手でかばうようにして、添い寝をしていました。

王子は、しばらくの間、苦しみました。

息子の顔を見るために妻の手をはらえば、彼女は目をさまし、出発を止めるであろう。もしそうしなければ、息子の顔を見ずに出発しなければならない。

王子は、決意しました。

「息子の顔は見ずに出かけよう。だが、私が探し求めるものをみつけたあかつきには帰って来て息子や妻に会おう」

後に、ブッダは、二度、カピラ城に帰って来ます。

ブッダの決心を試すように、息子が誕生しました。

ブッダの物語には、このようなわれわれと変わらない人間ブッダの苦悩が多く描かれます。

つづく

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