ブッダ物語44 今何が大切か
もくじ
農夫の話
今回は、
ブッダが、非常に、合理的な人であったことが分かるお話です。
ブッダの説法と牛
ある日、ブッダとその一行は、アーラヴィーの住民たちに招待された。
ブッダの説法を聞きに行こうと思った人々の中に、ひとりの貧しい農夫がいた。
ところが、出かける日の朝、牛が一頭いないのに気がついた。
ブッダの話を聞きたいという願いと、牛の気がかりの板挟みなった農夫は、後から集会に加わるつもりで、朝早く牛を探しに出かけた。
しかし、牛を見つけ出して戻した時には、夕刻近くになっていた。
一日中何も食べていなかったが、すでに遅かったので、農夫はまっすぐ集会に向かった。
餓えの苦しみ
一方、ブッダたちは、アーラヴィーの人々に食事を供養してもらった後、
いつものように、ブッダが説法によって、感謝の気持ちを示そうとするところであった。
この時、農夫は到着した。
疲れ果てて、弱々しい哀れな目の男が目の前に立っているのを見つけて、
ブッダは主催者の1人に、彼の席を見つけて食べ物を与えるように頼んだ。
農夫が食べ終わると、はじめてブッダは説法に入り、農夫はそれを一生懸命聞いた。
そのとき居合わせた僧の中には、たった1人の男、しかも遅れてやって来たみすぼらしい農夫にブッダが気を配るのに、まゆをひそめる者もあった。
彼らは集会の後、自分たちには納得できないブッダの行動に不平をもらしたが、それを聞いてブッダは説いた。
「もしこの男が飢えに苦しんでいる間に説法したら、私の言うことを理解出来なかったでしょう。餓えの苦しみほどつらいものはありません。」
まとめ
この話の重要なところは、最後のブッダのコメントです。
お腹空いていたら、説教されても入ってこないですよね。
私がこの話を聞いて、ブッダは非常に合理的な人だなと思いました。
「いや、飯よりもブッダの話の方が大事やろ!」
って、普通なります。
でも、ブッダは、「この人はどうやったら私の話をよく理解出来る状況になるだろう」と考え、先に食事を与えました。
この話で最も重要なのは、ブッダの説法で、食事ではないです。
でも、その最重要の説法に対してベストコンディションを作る。
ベストコンディションにすることで、最終目的である「ブッダの説法を聞く」が、完璧に達成されるわけです。
いや、すごい。
では、また。
手塚治虫のブッダは、最高です。
ぜひ読んでみてください。