ブッダ物語6 階級制度
ブッダの生涯をお話しするには、必ず、当時インドの階級制度であるカースト制についてお話ししなければなりません。
当時のインドは、カースト制という階級制度がありました。この制度は、現在の私たちのように、勉強していい大学に入り、いい会社に就職したい!とか、いやいや早く社会に出て、手に職を持ち自分の技術を磨きたい!はたまた、会社をおこして一攫千金ねらうぞー!などの自由はありません。生まれた時から決まっています。いや、生まれる前(前世/ぜんせ)から決まっています。
これは、最上の階級にいるバラモン階級の人たちが、未来永劫ずーと自分たちが最上位にいられるよう作った制度です。ですから、生まれ変わっても、カエルはカエルです。馬にはなれません。
このカースト制には、階級が四つあります。
神々の祭祀(さいし)の中心となるバラモン(brāhmaṇa)が最上階級、
王族であるクシャトリヤ(kṣatriya)が第二階級、
農民や商人であるヴァイシュヤ(vaiṣya)が第三階級、
労働者や召使いであるシュードラ(śūdra)が最下層です。
つまり、バラモンは生まれ変わってもバラモン、シュードラは生まれ変わってもシュードラ、これが輪廻思想(りんね・しそう)の基本的な考え方です。
ブッダはこの第二階級であるクシャトリヤの王子として生まれたことになりますね。
しかし、当時は、すでに、王族(クシャトリヤ)がバラモンに勝る勢力を持ってきていたそうです。
ちなみに、この時代にはすでに、通貨が流通しておりました。(祇園精舎の話で出てきます。乞うご期待!)
この階級にちなんだおもしろい話があります。
ブッダ物語5でお話ししましたが、母であるマーヤーはブッダを右脇から生んだというお話をしました。
『リグ・ヴェーダ』というバラモン教のお話の中に、宇宙の万物(ばんぶつ)は、一人の原人(げんじん、puruṣa)であったそうです。
神々は、この原人を切り刻みました。
分裂したそれぞれの部分である「口」からバラモン、「両腕」からクシャトリヤ、「両もも」からヴァイシュヤ、「両足」からシュードラが生まれたそうです。
もう、お気付きですか。
つまり、クシャトリヤ(王族)であるブッダは、「両腕」、しかもインドでは清らかとされる「右」から生まれたのです(右手でご飯を食べ、左手でお尻を拭きます)。
原人の「両腕」がクシャトリヤ(王族)になった→ブッダはクシャトリヤ(王族)なので、右腕から生まれた。
ということです。おもしろいですね。
また、ブッダの誕生日である「花まつり」の日に甘茶をかけるのは、「ブッダがお生まれになった日、ブッダに対する敬意のあかしとして、空中から二すじの水が流れ出て、生まれたばかりのブッダと、母であるマーヤーの母体を洗い流した」という伝説からきているそうです。
この水は、甘露(かんろ、amṛta)と言われ、神々が飲むとされる甘〜くて、飲むと不老不死になるという、スーパー飲料水のことです。
だから、甘茶なんですね。
私も、今晩、甘露水(ハイボール)を頂くとします(笑)
つづく。