ブッダ物語13 第三のしるし
王子とチャンナは、三度目の旅に出かけました。
二人は葬儀の行列に出会います。
葬儀に参列した人々は、胸をたたき、声を張り上げて泣いていましたが、運ばれてゆく遺体はそれと対照的に、まるで彫刻のように、じっと横たわっていました。
ついに、第三のサイン「死」に出会いました。
「王子さま。死は生命の終わりです。
生命が終わるとき、それが死なのです。
もはや、活動を続けられないとき、肉体は死にます。
さもなければ、病気になって死ぬのです。
呼吸が止まり、心臓が鼓動(こどう)しなくなります。
しかし、これは不思議なことではありません。
誕生と同様に、ごく当たり前のことなのです。
すべての生命あるものは、遅かれ早かれ死ななければならないからです。
だから、死について悩んでもしかたありません。
せいぜい長生きすることをお望み下さい」
王子はついに、「老い」「病(やまい)」「死」という人間が避けられない真理を目(ま)の当たりにしました。
みなさんは、この三つのしるしについてどのように考えますか。
私は、最近、知人のお父さんが亡くなったという知らせをよく聞きます。
自分の母や父の「死」というものが、グッと近づく年になりました。
青年ブッダはそれらについて深く考えたのでしょう。
私が、ブッダの年頃には、全く、そのようなことは考えませんでした。
私も今は、親族と、そして自分自身の「死」を考えるようになりました。
昨日から、ネガティブなお話ですが、ブッダが見た三つのサインはすべての生命にあてはまる真理です。
つづく