ブッダ物語19 コンダンニャとの再会と苦行の始まり
王子は、さすらいの旅を始めました。
このような人は、当時のインドでは珍しくないそうです。
王子は、食べ物を乞い、どこにでも寝泊まりするごく当たり前の修行生活に入りました。
人々は、王子を、聖者、苦行者、また、王子をよく知る人は、ガウタマと姓で呼びました。しかし、本当の素性(すじょう)を気づく人はいませんでした。
王子の正体が知られるようになったのは、彼がマガダ国の首都、ラージャガハ(現在のビハール州のラージギル)へ行った時でした。
王子の品に溢れた身のこなしは、きっと目立ったに違いありません。
ある人は、ビンビサーラ王に彼のことを告げました。
「王さま、ガウタマという苦行者は、大変魅力的で、礼儀正しく、育ちが良さそうで、どう見ても、托鉢僧には見えません。」
ガウタマという名を聞いて、王はその若者が、隣国の友人シュッドーダナ王の息子に違いなとすぐに気づきました。
そして、すぐに街に出かけ、王子を見つけると、王子に苦行生活をやめるように迫りました。
もし王子が苦行生活をやめるなら、王国の半分を与えようとまで言いました。
しかし、王子はその申し出を丁重に断りました。
一方、彼が悟りを求める旅に出たという知らせは、ブッダ物語7でお話ししたコンダンニャのもとに届きました。
そうです。彼は、ブッダが四つのサインを目にし、その結果、俗世間を捨てて、悟りを求めて旅に出ると予言した者です。
そして、すぐに、コンダンニャは真理を求める四人の仲間、バッディヤ(Bhaddiya)、ヴァッパ(Vappa)、マハーナーマ(Mahānāma)、アッサジ(Assaji)と共に、ブッダのもとを訪れ、彼ら六人の修行生活が始まりました。
この五人は、シュッドーダナ王が王子のまわりの世話をさせるために選んだシャカ族のバラモンであったという伝承もあります。
つづく