ブッダ物語21
ブッダと五人の仲間は、師を探しました。
まず、有名な師の一人、アーラーラ・カーラーマと呼ばれる者がいました。かれの目指す究極の目標は、ある段階の瞑想に達することです。それは、何も存在しないとする無の境地です。漢訳では、無所有処定(むしょ・うしょじょう)と言われます。あらゆるものが無いという意味です。
ブッダたちは、まず彼の元に入門しました。ブッダは修行に明け暮れたすえ、アーラーラはもうブッダに教えることはないと彼に告げました。
「おまえは、もう私と同様の境地に達している。ここに留まり、弟子たちの育成を手伝ってくれないか」と申し出ました。
ブッダは言いました。「老いや、病気、死から逃れる方法はないのですか。それを教えて下さい」
「それは出来ない。私自身が知らないことを、どうしてお前に教えることが出来ようか。それを知る者はこの世にいないのだ」
ブッダたちはがっかりしてアーラーラのものを去りました。
そして、新たな師を探しました。
彼らは、ウッダカ・ラーマプッタという師のもとを訪れました。
ウッダカは、アーラーラより一歩進んだ瞑想の指導者でした。
ウッダカが追及していたのは、非想非非想処定(ひそう・ひひそうしょ・じょう)と言われます。これは、ものを知覚するのでも知覚しないのでもないという境地です。
これは、ウッダカの師であるラーマによって達成された境地と言われ、その弟子のウッダカでさえその境地に達しようと努力している最中でした。
ウッダカの指導のもと、ブッダはその境地に達し、ウッダカは自分に達成できいことを恥じて、代わりにブッダが一派の指導者になるようお願いしました。
しかし、ブッダがもとめたものは、このような境地ではなく、老いや死などからの解放でした。
そして、ブッダ一行は彼のもとを去り、師を求めて旅に出ました。
今日お話しした、二つの瞑想の境地に、空無辺処定(くう・むへんしょじょう)と、識無辺処定(しき・むへんしょじょう)を加えた四つで、四禅定(し・ぜんじょう)と言います。最後に付く「定」は、禅定(瞑想)のことです。
空無辺処定(くう・むへんしょじょうは、空間の無限を瞑想するものです。
識無辺処定(しき・むへんしょじょう)は、認識作用を無限と瞑想するものです。
これらを第一、第二段階とし、先ほどの、アーラーラの境地である無所有処定の第三、ウッダカの非想非非想処定が第四段階となり、より高い瞑想への段階をあらわします。
しかし、この瞑想の境地のなかには、ブッダの苦しみから解放する手立てはありませんでした。