ブッダ物語25 四禅定、三明、最初の弟子
ブッダが悟りを得たときの瞑想の過程には四つの段階(四禅定)があったとされている。
第一は、欲望と不善を離れることにより、探求し、思惟しつつ、心を一点に集中する初善という段階である。
第二は、探求と、思惟という雑念を離れて、第二禅に入る。そこには、喜と楽とがあり、心の静けさと集中がある。
第三は、喜を捨てて、心が平等で集中された第三禅に入る。そこには、正しい注意と知識とがあり、身体に楽を感じる。
第四は、楽も苦も離れて、平等で、浄らか心の集中だけが残る。
その四つの瞑想の次には、三つの能力が得られた。
まず、過去を見通した。(宿命通)
次に、未来を見通した。(天眼通)
そして、最後に、すべての煩悩が尽き完全な智を得た。(漏尽通)
これらは、三明(さんみょう)と言われる三つの超人的な能力である。
ブッダは、もう生死を繰り返す輪廻の世界が終わったことを悟り、この喜びを七日間味わった後、シッダールタは、ブッダとして立ち現れた。
この時、神々や魔王まどもが、ブッダに花をまき散らし祝福したという神話や、
一人の傲慢なバラモンが通って、ブッダと対話した後、「フン、フン」と小馬鹿にしてその場を立ち去ったという最初の説法に失敗したという逸話もある。
最も有名な話は、梵天勧請(ぼんてん・かんじょう)である。
ブッダは、自分が悟った内容があまりにも絶妙で、他人に理解されないであろうと思い、このまま涅槃に入ろう、死んでしまおうと考えた。
それを知ったブラフマン(梵天)をはじめとする神々は、ブッダに再三思い直すようお願いし、ブッダは説法を開始することを決意したと言われている。
このように躊躇(ちゅうちょ)した理由は、究極の真理は言葉では言い表せないという大乗仏教の「空」の思想につながるものとされている。
ブッダが悟ったすぐ後に、タップサとバッルカという二人の商人が通りかかり、菩提樹の下で座っているブッダを見て、二人は小麦粉と蜂蜜で作った食物を供養する。
食後ブッダは自身の体験を二人に話した。
そして、この二人がブッダの最初の在家の弟子となった。
この時、ブッダは35歳であった。