ブッダ物語31 舎利弗、目連の入団
二人はまず、ラージャガハの近くに住む有名な師、サンジャヤの門をたたいた。
しかし、サンジャヤは二人が求める解答を与えることが出来なかった。
そこで、二人は、自ら瞑想し、どちらか最初にそれを見出した者が、もうひとりに教えようと誓い合った。
ある朝、ウパティッサ(シャーリプトラ)は、ラージャガハの大通りで、苦行者らしき人が鉢を持って家から家へ物を乞いながら回っているのを見かけた。
その人の表情は、あたかも澄み渡った空の下のなめらかな湖水のように穏やかに見えた。
そして、苦行者が托鉢を終えるのを見て、市の城門を出て行こうとした時、ウパティッサは近づいてたずねた。
「どうか、あなたの師を教えて下さい」
実は、その苦行者とは、最初の五人の仲間の一人、アッサジであった。
彼は、ウパティッサに因果律(縁起)に関するブッダの教えを説いたとされている。
それに感動したウパティッサは、友のコーリタ(モッガッラーナ)の所へ行ってその経験を話した。
そして、二人はブッダのもとに行き、入団し、代表的な弟子となるのである。
ウパティッサ(舎利弗)は、智慧の優れた者(智慧第一)と呼ばれ、
モッガッラーナ(目連)は、不思議な力の持ち主(神通第一)と呼ばれた。
彼らは、ブッダの十大弟子と言われる者たちの二人である。
最初の雨季をベナレス近郊で過ごした後、僧団はビンビサーラ王が寄進した竹林の園(竹林精舎)で雨季を二、三度過ごした。