ブッダ物語38 女性の出家
ブッダが女性を教団に入れることは否定的だったと言われています。
今日は、そのお話しです。
カピラヴァストゥ訪問の後しばらくたって、ブッダはふたたび故郷へ戻ってきた。
その間すでに、父スッドーダナ王は亡くなっていた。
ブッダがニグローダ園に滞在していた折り、王妃マハーパジャパティー・ゴータミーが訪ねてきた。
母(マーヤー)の死後、シッダールタ(ブッダ)を育てたのは彼女である。
王妃は、正式に僧団の一員になることを願い出たが、ブッダは拒絶した。
二度、三度求められても、がんとして聞き入れなかった。
王妃は、泣きながらその場を去り、ブッダは、僧団の宿泊施設があるヴェーサリー市の森へ移動した。
しかし、マハーパジャパティー王妃は簡単にあきらめなかった。
再び、数人のサキャ族の女性と共に、ブッダに入団を懇願するため、ヴェーサリーへやって来た。
王妃は誠意を示すために、髪を切り、仏弟子のように黄色の衣に身を包んでいた。
そこで、僧院の入り口に立っている所をアーナンダに見つけられた。
ホコリまみれになり、足は腫れ上がり、悲しそうにすすり泣いているマハーパジャパティーを見て、アーナンダはビックリ仰天した。
「ゴータミー様、ここで何をしておられるのですか」。
「アーナンダ様、ブッダが女性の出家をお認めにならないからです」。
王妃の姿に感動したアーナンダは、ブッダのところへ駆けつけ、このことについて問うた。
しかし、ブッダは、ゴータミーの入団をがんとして拒否した。
そこで、アーナンダは、ブッダの意見を変えさせるために、ブッダの得意な論理的な説得法を逆用することにした。
「ブッダよ、女性が出家生活を送ることを許されたと仮定しましょう。彼女達は悟りに達することができるでしょうか」。
出来ないと答えれば、女性が精神的に劣ると認めることになってしまうので、ブッダは答えた。
「できるでしょう、アーナンダ」。
「ブッダよ、それなら、女性が出家することは良いことに違いありません。マハーパジャパティー・ゴータミー様ならなおさらのことです。母上の死後、一心にあなたを育て上げたお方ですから」。
これにはブッダもついに折れざるを得なかった。
そうして、マハーパジャパティーは、仏教教団最初の尼僧となった。
やがて、シッダールタの妻ヤソーダラをはじめサキャ族の女性たちが、彼女を追い、出家することとなった。