Tendai Taishi Written by Seimin Kimura

ブッダボット【時空を越えて、お釈迦さまと対話】

お役立ち

仕事や、学校、家庭や対人、私たちは日々ストレスの中で生きています。誰かに、話を聞いて欲しい。心の悩みを打ち明けたい。しかし、カウンセリングやお寺に相談に行ったら、自分の情報を共有しなければなりません。たとえ相手がカウンセリングのプロでも、自分のことを話したくないことってありますよね。人に会わないで自分の悩みを聞いてもらいたい人も多くいます。
そこで、今回は、京都大学で開発が進んでいる「ブッダボット」(Buddhabot)を紹介したいと思います。

ブッダボットは、AI(人工知能)です。つまり、人間ではなく、コンピューターです。ですから、あなたが、相手にどう思われているのかな…と心配すること無く相談できます。しかし、AIといっても、お釈迦さま(ブッダ)の頭脳を再現したものですので、さとった人に話を聞いてもらえるわけです。誰にも知られずに、お釈迦さまに悩みを相談できるって凄いですよね。

また、人間の悩みというのは、約2500年前、ブッダ(以下は、「お釈迦さま」を「ブッダ」と呼びます)がいた時代と全く変わっていません。現代社会でも、「老い」「病気」「死」は悩みの種ですよね。それらの悩みの根源について、ブッダは、遠い昔にすでに答えていました。

もくじ

開発の目的

日本では、仏教離れが加速しています。「葬式仏教」とか、「観光仏教」という言葉を聞いたことがあると思います。つまり、本来仏教が目的とする「人を幸福にする」という目的からは、少しずれてきています。
ブッダボットのプロジェクトは、仏教離れの人を取り戻すことと、「幸せになるための教え」という仏教本来の役割を取り戻すことを目的とします。

誰がつくったの?

京都大学のこころの未来研究センターに所属する熊谷誠慈准教授が開発しました。


熊谷氏自体は、ボン教やブータン仏教の研究を始め、「幸福」について研究してきた方です。著書は、多数あります。

洋書もありますが、省略します。

あのTEDにも出ているんですよ!

とにかく、凄い人です。

どのようなことが出来るのか?

BERTが応用されている

開発には、Googleが提供する「BERT」というアルゴリズムが応用されています。
「BERT」とは、AIが、我々の言葉の意図をかなり高い確率で理解してくれるものです。例えば、「アメリカへのブラジル旅行者はビザが必要」と検索すれば、AIが、「アメリカへのブラジル人旅行者」と理解し、検索結果を表示してくれます。かなりかしこいです。
BERTについて詳しくはこちら

アルゴリズム(algorithm)とは、私たちの代わりに、めっちゃ頭の良いAIが考えて、高速でいろんなことを処理してくれることです。

つまり、ブッダボットは、私たちの悩みの言葉を正確に判断し、ブッダの言葉で正確に答えてくれるAIです。

ブッダの言葉はどこから持ってくるの?

ブッダボットが答えてくれる内容は、最古の仏教の経典である『スッタニパータ』というお経から抽出されたものです。このお経は、ブッダと弟子の対話形式で構成されています。つまり、お弟子さんの悩みにブッダが答えるという形です。
これを応用したのがブッダボットです。開発者は、これを元に、Q&A(ブッダと弟子の問答)のリストと、現代語訳のデータをAIに学習させています。また、現代の文脈にそぐわない内容は取り除き、現代の人でも馴染みやすい説法のみを選んでデータを整理しています。

開発の現状は?

開発の第一段階では、単語レベルの回答に終わっていたのですが、現在は、文章で回答するレベルに達しています。

お坊さんの仕事が無くなる!?

ブッダボットがよく使われるようになれば、お坊さんの仕事は無くなってしまうのではないの?という疑問がわきます。
ブッダボットは、僧侶の仕事を奪うのでは無く、むしろ僧侶が説法する際のツールとして使用することが出来ます。例えば、お坊さんに対して難しい相談が来た時、「こんな時、ブッダはどう答えたのだろう?」と調べることで、むしろ、お坊さんの手助けとなるでしょう。相談者さんが、お坊さんに言いたくないことだけをブッダボットに聞いてみることも出来ますね。つまり、お坊さんとブッダボットが相談内容を分担することも可能となるでしょう。

注目度は?

めちゃめちゃ、バズってます。5400件の「いいね」です。私も少し分けて欲しいです😅

どこで手に入る?

残念ながら、今の段階では、我々が利用することは、出来ないようです。

しかし、近い未来に、お釈迦さまに直接悩みを聞いてもらうことが出来るなんて夢の様ですね!

開発中のLINE画面はこちら

京都大学の記事はこちら

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