論文の書き方【漢字とひらがなの使い分け】
大学の卒業論文や、そのあと研究者になった人にとって、「論文の書き方」は、一生つきまとうテーマです。
私も、授業や講座をしたりする時は、レジュメやテキストを書きますので、避けられないテーマです。
しかし、論文の書き方の教科書を探すのはなかなか難しいですね。
そこで、紹介したいのが、『理科系の作文技術』という本です。
本当に、分かりやすく、「論文の書き方」についての疑問を解決してくれます。
今回は、読みやすさをテーマに、漢字とひらがなを、うまく使い分けた論文の書き方についてお伝えします。
この記事を読み終わった後、あなたの文章は必ず読みやすくなっています。
もくじ
文系と理系は論文の書き方が違うか
そもそも、文章の書き方に文系と理系に違いはあるのか?
結論からいうと、ありません。
なぜなら、両方とも同じ言語で書くからです。
つまり、日本人向けなら日本語で、外国人向けなら基本的には、英語でという具合です。
ということで、文系も理系も言語に違いはありません。
文系の文章の書き方とか、理系の文章の書き方とかをよく言いますが、
よく考えてください。
一番大切なのは、読み手に分かりやすく伝えることです。
そこで、「文系と理系では、分野が違う」という人がいますが、
そもそも、文系の分野だけでも、無数に枝わかれします。
ひらがなを含んだ論文の書き方
では、全部ひらがなを使ったら読みやすいか?
違いますよね。
次の文章を見てください。
にほんのこうれいかは、ますますすすみ、にせんごじゅうねんには、ぜんたいのごじゅっぱーせんといじょうをしめるとかんがえられる。
これに漢字・ひらがな・かたかな・数字を加えることで読みやすくします。
今度は、全部漢字だとどうでしょう。
日本の高齢化は、益々進み、二千五十年には、全体の五十パーセント以上を占めると考えられる。
もちろん読めなくはないですが、「読みやすい」とは言えません。
では、漢字・ひらがな・数字を、上手く使ってみましょう。
日本の高齢化は、ますます進み、2050年には、全体50%以上を占めると考えられる。
「益々」を「ますます」に、漢数字を英数字に変えるだけ、グッと文がスッキリし、読みやすくなりました。
つまり、漢字とひらがなのバランスで、その文章の読みやすさが決まってきます。
漢字ではなく、ひらがなを使った方が読みやすい語
では、実際に、どんな言葉をひらがなにすると読みやすくなるかを紹介します。
すべて、使用頻度が高い言葉なので、ぜひ使ってみてください。
接続詞や修飾語などを「ひらがな」にする
- 及び →および
- 並びに →ならびに
- 乃至 →ないし
- 初めて →はじめて
- 再び →ふたたび
- 或る →ある
- 或いは →あるいは
- 即ち、則ち →すなわち
- 但し →ただし
- 然し、併し →しかし
- 勿論 →もちろん
- 従って →したがって
- 殊に →ことに
- 各々 →おのおの
- 普通 →ふつう
- 沢山の →たくさんの
- 色々の →いろいろの
- 他の →ほかの
最後の「他の」などは、「ほかの」とも読めるし「たの」とも読めますので、ひらがなにすると、より分かりやすいですね。
なるべく「ひらがな」にしたい言い回し
- …の通り →…のとおり
- …する時に →…するときに
- …である事は →…であることは
- …と共に →…とともに
- …に拘わらず →…にかかわらず
- …と言うことは →…ということは
よく使う動詞を「ひらがな」にする
- 出来る →できる
- 分かる、判る →わかる
- 始める、始まる →はじめる、はじまる
- 決める、決まる →きめる、きまる
- 覚える →おぼえる
- 当然と見える →当然とみえる
主語や数を「ひらがな」にする
- 我々、吾々 →われわれ
- 私たち →私たち
- 1つ、2つ →一つ、二つ,ひとつ、ふたつ
これだけで、文章の見やすさが、一段と変わりますから。
漢字は2つ並べない
それから、漢字が2つ並ぶと、読み手に「ためらい」が生まれます。
つまり、「どこで切って読むのか」と、脳で考えます。
これは、読み手にとっては、ストレスであり、時間の浪費です。
二つ以上漢字が並ぶ場合は、二つのうち一つを「ひらがな」にする。
大変難しい →たいへん難しい
これは、片方を漢字やひらがなにすることで、二つの単語の区切りを示してあげることになり、読みやすさもアップします。
まとめ:決めた論文の書き方を徹底する
今回は、論文の書き方について、漢字とひらがなの使い分けを中心に見てきました。
例えば、書道の作品でも、大切なのは、文字の部分ではなくて、白い余白部分(文字が書いていないところ)です。
書道は芸術作品ですが、論文もあなたが作り上げた一つのアートです。
そのデザインをよくすれば、さらに説得力が増すことは間違いありません。
最後にもう一度、『理科系の作文技術』という本をご紹介します。
私は、いつも手元に置いて、自分の文章をチェックしています。
マンガもあるので、こちらから読んでも良いと思います。
では、よい論文LIFEを!